たとえばそれはこんな雨の日 傘を差して歩く見慣れた町並み 雨のコンクリートをたたくリズムは 落ち着かない私の心の音のよう 大通り沿いのシアトルカフェ前 あの人を待つわたしの傘はすこし小さめ 「荷物が増えるのが嫌だ」と 雨の日でもあまり傘を持たないあの人は わたしと一緒に歩くときだけ 大きな左手で傘を持ってくれる 二人にはすこし小さい傘だけど 寄り添う二人にはちょうどいい あの人の右肩はいつも濡れてしまうけど 「俺は濡れてもいいから」って それがいつものセリフ やさしいのか、めんどくさがりやなのか それはどっちかわからないけれど すこしでもそばにいられるのなら わたしにはどっちでもいい だから、わたしの傘はすこし小さめ あの人のそばにいられるから だから、わたしは… 雨の日が好き